PartⅧ(三日目・1限) | |||||||||||||||||||
今日は7/29。台風の影響でいつ空模様が悪くなるかわからないので、くまぷーは家をでるときに愛用のリュックの中に折りたたみ傘を入れておいた。すると駅に行く途中、いきなり激しく雨が降り出した。駅までもう一歩の所まで来ていたのになんとついてないことだ。リュックから上手く折りたたみ傘を取り出すことができずに濡れてしまった(`ヘ´) プンプン。 今日で英語教員集中研修も3日目だ。今日が終われば次は8/3なので時間に余裕ができる。雨に濡れてしまって少々不快ではあるが頑張ろう。くまぷーを乗せた幕張本郷発8:40分のバスが神田外語大学に着く頃には雨もあがっていた。 さて今日の1限はテーマ2の第2部だ。この時間、くまぷーたちは実際にインフォーメーション・ギャップという手法を取り入れた活動を生徒の立場で体験することになっている。 インフォーメーション・ギャップという用語が英語教育で使われる場合 、専門家のお叱りを覚悟の上で簡単に言うとこんなカンジの流れになるのだろうか? |
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「学習者が言語を身につける場合、言葉の『練習のための練習』ではなくなるべくリアルなシチュエーションで言葉のやりとりをした方が効率的だ」→「ではリアルなシチュエーションで言葉のやりとりとは、そもそもどのような場合になされることが多いのかいな?」→「リアルなシチュエーションでは自分の持っていない情報を相手から引き出すために言葉のやりとりをすることがほとんでないかいな」→「だったら、この『自分の持っていない情報(インフォーメーション・ギャップ)』を意図的に作り、それを生徒同士でお互いに引き出すようにし向ければ言葉のやり取りが活発になってええんでないの」という発想である。 |
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※英語教育で「インフォーメーション・ギャップ」というと生徒間に「インフォーメーション・ギャップ」のある状態を意図的に作り、生徒同士で言葉のやりとりをさせて自分の持っていない情報を相手から引き出す活動そのものをさすことが多い。 |
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さてくまぷーたちがこの演習で体験したのは以下の5つの活動だ。 | |||||||||||||||||||
1.Find someone who… あらかじめ研修生には下のようなワークシートが渡されている。 |
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研修生は教室中を歩き回り、他の参加者と会話して条件に合う者を見つけてその名前をワークシートに書き留める。実際の教室では学年のはじめに自己紹介代わりに生徒にやらせるのが有効ですか…。 | |||||||||||||||||||
2.Fish… | |||||||||||||||||||
トランプを使った小グループ活動。遊びのなかで自然に英語を使う。 | |||||||||||||||||||
3.Who am I ? | |||||||||||||||||||
研修生は背中に人名の書かれた紙片を張られる。自分の背中の紙片に何が書かれているか分からない。他の研修生に質問することによって自分が誰であるかをあてる。ちなみに、くまぷーの背中には"Saddam Hussein"と書かれていた。 | |||||||||||||||||||
4.Find the differences. | |||||||||||||||||||
ペアワーク。研修生は2人ひと組になり、各々に1枚ずつワークシートが渡される。そのワークシートには20枚の絵がある。1枚々々の絵には(アパートの)部屋の様子が描かれている。ちょうど外から室内を除いているカンジの絵だ。 研修生は互いに異なるワークシートを持っている。相手に自分の持っているワークシートを見せることなく何番の絵が相手のものと違うのかをチェックする。 |
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5.Who Dunnit? | |||||||||||||||||||
研修生には1枚ずつ紙片が渡される。その紙片にはある犯罪についての情報が一つずつ書かれている。研修生は教室中を歩き回って他の者から情報を収集する。最後に全体で集めた情報を再構築して犯罪の全容を明らかにする。 |
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研修生はみんな、けっこうノリノリだったよ (初出 2004/08/06) |
PartⅨ(三日目・2限) |
さて2限目はテーマ2の第3部。「間違いと訂正」についてが主題だ。生徒の犯す間違いを誰がいつどのように正すか(あるいは正さずにおくか)について考えます。 生徒の学習段階・目的によっては教師による「訂正」が生徒の学習にマイナス効果を及ぼすというのは語学の教師ならば常識だと思います。会話練習をしているときに生徒が「複数のS」や「三人称現在単数」のSをつけ忘れたからといって、いちいちその間違いを指摘していたら何も話す気がしなくなってしまうでしょう。教師は生徒の間違いをやみくもに指摘して訂正すればいいというものではありません。 ここでくまぷーたちは次のような演習をしました。約20人が4~5人の4グループに分かれるます。そしてヘッドフォンを着用してグループ毎に異なるビデオを視聴します。研修生は要点をメモします。次にグループ内で話し合い内容をまとめます。最後にグループの中のひとりが代表として発表して終わりです。 じつはそのビデオは一つの講演を4分割したもので各グループの発表をまとめると講演の内容の要約になります。 ビデオは講演なのでわりとゆっくり話されているし、内容も英語教育に関わるものなのでそれ程、難易度の高い作業ではないでしょう。話も学生の時に聞いたことのあるような内容でした。 くまぷーはこのように一つの部屋で数グループに異なるビデオを見せてこのような活動を生徒にさせるのは面白い実践だな、と思いました。しかし、今体験した活動は公立高校では実施するのが難しいでしょう。なぜなら公立高校ではこのように一部屋で異なるビデオを同時に再生できたとしても、音声がごちゃ混ぜになってしまい何がなんだかわからなくなってしまうからです。このような実践の出来る設備のある公立高校はないでしょう。ま、そのうちそのような設備を持つ高校もできるかもしれませんが…。おそらくその時にはくまぷーはもう教員を辞めているでしょう。 |
この日の昼もくまぷーは神田外語大のカフェテリアに行きました。「油淋鶏」という定食を食べました。唐揚げに甘辛いタレをかけたようなものです。杏仁豆腐がついて500円也。お勧めです。 (初出 2004/08/07) |
PartⅩ(三日目・3限) |
さて3限目からはテーマ1の演習が始まります。タイトルは「THE IMPORTANCE OF TEACHING ENGLISH THROUGH ENGLISH」です。「英語で英語を教えることの重要性」ということになりましょうか。 この時間、つまりテーマ1の第1部ではどうして「英語による英語教授」が大切なのかを説いたビデオをくまぷーたちは視聴して、話されている内容を要約します。でもビデオで話されている英語はかなりゆっくりで、かつ教本を見ればご丁寧に穴埋めをすればいいだけになっているし、さらに話されている内容は学生時代に聞いたような内容なのでぜんぜん問題ありません。 |
内容は思い切ってめちゃくちゃ簡単に言うとこうなります。 |
赤ん坊はみんな言葉を話せるようになるだろ!!それも苦労なく自然にさぁ。だから言葉を覚えようと思ったら赤ん坊みたいにやるのが一番いいんだよ!! 赤ん坊はさぁ、まず最初は周りの人が言葉を使うのを聞いて聞いて聞きまくって、それから、次の段階で言葉を使い始めるのさぁ。こういう過程で人間は頭の中に言語処理システムを作るの!!だから教室内に赤ん坊が言葉を習得したのと同じ環境を作ってあげなきゃいけないの!!英語が溢れているような環境をつくってあげなきゃダメなんよ。そのためには指示だって何だって英語でやんなきゃさァ。みんな、わかったぁ?! |
確かに我々が日本語を覚えた過程を考えればそうでしょう。赤ん坊は親などの周りのものが話しかけたりあやしたりする言葉を聞いて片言の日本語を話し始め、そしてやがて意味のある言葉を話し始めるようになります。 ですから、まず「聞いて」それから「話す」というビデオの話は素人さんには大変説得力があるように思えるかもしれません。 |
ですがくまぷーには納得できません!! |
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★納得できない理由★ |
1.第一言語(母国語)と第二言語(外国語)がまったく同じに学習できると言っていますが何か科学的根拠があるのでしょうか?あるいは実際に検証できるのでしょうか? お腹が空いているときはどんなものでも食べることが出来ますが満腹になったあとは食欲が湧かず自然には食べることはできません。胃袋の中に入っているものを消化して下から出すか、指を口に突っ込んで上から出すかしなければなりません。 赤ん坊の頭は空腹状態の胃袋みたいなものです。我々が教えている高校生の頭の中には既に日本語の処理システムが作られています。すでに日本語の処理システムができあがっている状態で、新に英語の処理システムを自然に作ることができるのでしょうか? 2.仮に母国語と外国語が同様の方法で同様に習得できるとしても、赤ん坊と同じような環境を高校の教室に作ることは可能なのでしょうか? 赤ん坊がしゃべりはじめ、意味のある言葉を話し始めるのにはどれくらいの期間が必要なのでしょうか?ビデオでは具体的な数字を言うことはなかったのでちょっと調べてみました。すると赤ん坊は約1年でしゃべりはじめ、約2年で意味のある言葉を話すということでした。 それでは赤ん坊は話し始めるまでに何時間くらい母国語の集中リスニング訓練を親というネーティブスピーカーにしてもらっているのでしょう(親が話しかけなくても周りから聞こえてくるのは母国語です)。 1日5時間として簡単な言葉を話し始めるという1年(365日)でなんと1825時間です。これを学校でやろうとするとどういうことになるでしょうか?週5単位の授業であっても年間法定時数が1単位35時間ですから授業時間は1年間でたったの175時間です(これだけ差があると集中訓練にはなりません)。もちろん行事などで授業がつぶれるので実際には授業時間はもっと少なくなるはずです。 荒っぽい計算だということを承知の上で言わせてもらえば片言の言葉を話すまでの1年間(1825時間)でも学校の授業の10年分以上です。意味のある言葉を話し始める2年間ならば20年以上です。 こんなことが現実的でしょうか?平均的な高校生は一日中英語ばかりやっているわけではありません。 |
こんなに長時間ネーティブに特訓を受けていれば少しくらい話せるようにはなるわなぁ……(-_-;) (初出 2004/08/08) |
Part11(三日目・4限) |
くまぷーが英語教員集中研修参加編を書き始めて早くも11回目だ。検索サイトGoogleでキーワード「英語教員研修」で検索すると約13900のサイトがヒットした。このトピックで書き始めた数日前まではくまぷーのものなどはどこにもなかったが、今再びキーワード「英語教員研修」で検索してみているとトップに来ている。どうでもいいことだがなんかうれしい。 |
さて「英語教員集中研修」で約13900のサイトがヒットしてしまうなんて、ずいぶんあちこちで強制研修を始めたものだ。前にも書いたが千葉市の中学校の英語教員はNOVAで研修をやっているということだ。NOVAのサイトを見ると千葉市だけではなく他の所も指導しているらしい。「NOVAの教員研修」ということで研修風景の写真付で宣伝している。NOVAに個人で習いに行けばけっこうなお金が必要だ。今回は向こうも宣伝に使えるのである意味「特別割引」をしているとは思うがいったいいくらぐらいのお金が動いているのだろう?ちょっと気になるところだ。 |
さて話をこちらの研修に戻そう。4限目はテーマ1の第2部だ。4限目となるとだんだん体力的につらくなってくる。集中力が落ちてきているようだ。 第2部のテーマは「読解」だ。まず最初に与えられた「WHAT IS LANGUAGE?」という文章を読み、その後でペアを作ってその文章についての問題を解く。その後チョムスキーに関する文章を読み、同じようにペアをつくり、その文章に関する問題を解く。最後に開隆堂の教科書サンシャイン(英語Ⅱ)からひっぱってきた文章を読み、こんどはこちらでその文章に関する問題を作る。やはりペアワークだ。今回の研修ではほとんどペアワークかグループワークになるので研修生は何をやるにも英語をつかうようになっている。ここが今回の研修のいいところだな。 さてこれで今日の全てのメニューが終わり、いつもなら学校のすぐ前から出ているバスの乗って帰るだけなのだが、今日はそうもいかない。研修の最終日(8/4)にグループの代表が模擬授業をや 誰も代表なんてかったるいことを進んでやろうなんて言う奇特な者はいない。 まず、代表者を決める前に模擬授業で扱う題材を決めることにした。S末さんの持ってきた「Viva English(英語Ⅰ)」が簡単そうなのでそれを使うということになった。研修の要項に勤務校で使っている英語Ⅰの教科書か英語Ⅱの教科書を持ってこいと書いてあったがくまぷーは英語Ⅰも英語Ⅱも教えていなかったので自分の教科書は持っていなかった。 だから他の人が良いというなら別になんでもよかった。 次は「Viva English」の中のどの部分を扱うかだ。第何課はこれこれを扱っているからなどと目次をまじめに読んでいる…。 |
そんなことやってたら何時間有っても終わらないよぉぉぉ… |
くまぷーは無駄な話し合いが嫌いだった。くまぷーは面倒だから、何でもいいから開いたところでやればいい、と言った。くまぷーが教科書の真ん中くらいを適当に開いた。 あっという間に題材が決まった。 |
ついでに代表はくまぷーになっていた。 |
そして会議はあっという間に終わった。(-_-;) (初出 2004/08/09) |
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