I沢先生はN高では珍しいMac派。自慢の愛機はPower Mac 520。
N高に赴任する前にディスカウントショップで2台限定のやつを
早朝5時から並んで8万円でGETしてきたと聞いています。
彼がN高に赴任してきてからすでに11年になるので
パソコンとしては異例といえる程の長寿です。金さん、銀さんもマッ青です。
11年前というとWindowsなど影も形もない頃でDOSやBASICが幅を
利かせていた時代です。その頃からMacはマウスで操作できるグラフィカルな
インターフェイスが実装されていたのですから当時としては先進的な
マシンだったと言えます。しかし、「駿馬も老いては駑馬にも劣る」という言葉のとおり、
白黒の画面や処理速度の遅さは今となっては痛々しささえ感じます。
さて県下でも数学の指導には定評のあるI沢先生はこのMacで11年間、
こつこつと教材を作り続けてきました。そのファイルは容量にして
優に百メガバイトを超えます。その汗と涙の結晶がこの老体Macの
ハードディスクに入っていることを知り、くまぷーは当然の如く心配になってI沢先生に
言いました。「先生、バックアップはとっているんですか?」
I沢先生とくまぷーはいっしょに旅行に行ったり、食事に行ったりと
親しくお付き合いさせていただいている仲です。その方の泣き顔は
見たくありません。くまぷーの問いに対してI沢先生は自信を持って答えました。
「くまぷー、大丈夫だよ。しっかり、PDにバックアップしているから」
「I、I沢先生....ぴ、ぴーでぃーです...か?」。PDとは松下が1995年にだした
読み書き可能な光ディスクで、640メガバイトの読み書きができます。
これも当時としては大容量だったのですが、ぜんぜん普及せず、
いつの間にか消えていった規格です。もう、このへんのパソコンショップには
PDなんておいてありません。アキバに行っても見かけません。
近くのヤ○ダ電気に行って「PDありますか?」と聞いたら、店員に「PDって
何ですか?」と言われてしまったほどです。I沢先生、PDは絶滅種なのです。
鴇みたいなものなのです。
PDはCDを読み込むだけでなく大容量の書き込みもできるということで、
I沢先生のご自慢でした。でたての頃に買ってまわりのみんなに
よく自慢していたことをくまぷーは覚えております。しかし、でたての頃に
買ったということはこのPDも高齢のはずです。ハードディスクもPDも
駆動部をもつ、いわゆる回転ものです。5年もすればいつ何時、逝ってしまっても
何の不思議もないのです。
「先生、できるだけ早く他のものにバックアップしてください。
先生のPDドライブが壊れたら、いくらディスクが光ディスクであっても
読み出せません。PDにバックアップをとることはほとんど意味がありません!」
くまぷーはI沢先生に赤心からご忠告申し上げました。でも常にご自分の
ことよりもまず他人のことを第一に考えてしまう先生のことですから、
アメリカが戦争を起こすかもしれないというこのときにご自分のデータが
吹っ飛ぶことなどはどうでもよいことなのでしょう。笑って取り合ってくれません。
くまぷーはこの「I沢先生、大いに笑う」の巻に続き、「後悔先に立たず」の巻
あるいは「だからあれ程言ったじゃない」の巻を近いうちにみなさんに
お届けできそうな気がします。 (2003年、早春記)
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